木のぬくもりを活かした家が建てやすくなった──2025年の建築基準法改正で何が変わったか
2025年11月に建築基準法施行令が改正され、木材を使った住宅設計の自由度が高まりました。木の家に住みたいと考えている方に向けて、変化のポイントをわかりやすく解説します。
「木のぬくもりを感じられる家に住みたい」「梁や柱を見せたインテリアにしたい」——そう思ったことはありませんか?
実は日本の建築基準法には、木材を使う際にさまざまな制約があり、設計者が「ここに木を使いたいけれど法律上できない」と悩む場面が多くありました。
2025年11月、その状況が変わる建築基準法施行令の改正が施行されました。木材の利用を促すために防火・避難関係の規制が見直され、木の家が設計しやすくなったのです。施主の立場から見ると、どんな恩恵があるのかを解説します。
なぜ木の家に規制が多かったのか
木材は燃えます。そのため建築基準法では、火災時の安全を確保するために、木材の使用を制限する規定が多く設けられてきました。
たとえば、天井の梁を木のまま見せたいと思っても、防火上の理由から不燃材料で覆わなければならないケースがありました。また、大きな窓を設けたい場合に、木製サッシではなくアルミサッシにしなければならない場面もありました。
こうした制約が、木の質感を活かした住まいづくりのハードルになっていたのです。
2025年の改正で変わった3つのポイント
① 木製サッシ・樹脂サッシが使いやすくなった
改正前は、排煙のための開口部(排煙口)を不燃材料でつくる必要がありました。そのため、省エネ性能の高い樹脂サッシや、温かみのある木製サッシが排煙口として認められないケースがありました。
改正後は、木製サッシや樹脂サッシでも自然排煙口として認められるようになりました。断熱性能が高く、デザイン性にも優れた窓を選びやすくなります。
② 木の梁を見せるデザインがしやすくなった
天井に木の梁を見せる「現し(あらわし)」のデザインは、木の家らしい空間を作る上で人気の手法です。
改正前は、防煙壁(火災時に煙の広がりを防ぐための垂れ壁)を不燃材料でつくるか覆う必要があったため、せっかく燃えにくい設計にした木の梁の横に、異素材の防煙壁が混在する見た目になることがありました。
改正後は、一定の条件を満たせば燃えにくい設計をした木の梁をそのまま防煙壁として扱えるようになりました。木の梁が連続する、統一感のある空間が実現しやすくなります。
③ 天井の高い空間が設計しやすくなった
吹き抜けや高天井の空間は開放感があり、人気の間取りのひとつです。
従来の規定では、排煙のための有効な開口部の範囲が天井面から0.8m以内に限られており、天井が高い場合に設計上の制約になることがありました。
改正後は、天井高が2.6mを超える部屋では、床面から1.8m以上の高さの範囲も排煙上有効と認められるようになりました。高天井の空間でも、より自由な窓の配置が可能になります。
施主として知っておきたいこと
今回の法改正は主に設計者・工務店側の話ですが、施主にとっても無関係ではありません。
「木製サッシは使えない」が変わる 以前なら「ここには木製サッシは使えません」と言われたケースが、改正後は対応できる可能性があります。木の家を希望するなら、工務店や設計士に「今回の法改正を踏まえた提案をしてほしい」と伝えてみましょう。
「梁を見せたい」が実現しやすくなる 吹き抜けや大空間で木の梁を見せるデザインを希望する場合、改正前より実現しやすくなっています。設計の段階から希望を伝えることが重要です。
工務店の対応力を確認する 法改正を把握して設計に活かせる工務店かどうかは、選ぶ際の判断基準のひとつになります。「最新の法改正に対応した木の家の設計実績はありますか?」と聞いてみるのもよいでしょう。
間取りから木の家をイメージしてみる
木の家への興味が高まったら、まず間取りのイメージを固めることから始めてみましょう。吹き抜けのある大空間、梁を見せるリビング、木製サッシの明るい部屋——そうしたイメージをArchifieldsのエディタで形にしながら、設計士や工務店との打ち合わせの準備ができます。
まとめ
2025年11月の建築基準法施行令の改正により、木材を活かした住まいの設計自由度が高まりました。施主の立場からは、以下の3点を覚えておくとよいでしょう。
木製サッシ・樹脂サッシが使いやすくなったこと、木の梁を見せるデザインが実現しやすくなったこと、高天井の空間で窓の配置の自由度が上がったことです。
「木のぬくもりを感じる家に住みたい」という希望は、以前より実現しやすい環境になっています。間取りの段階からその希望を具体的に持っておくことが、理想の家づくりへの第一歩です。